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まっとうに生きる

 

だまされた。

 

 

台所にいた母が突然、そう言った。

 

 

「どうしたの?」

そう言って母の手元を見たら豚肉があった。

 

 

「赤身が多いと思って買ったのに、脂が裏側に隠されてた。」

そう、母の言葉どおり手元の豚肉には脂身の部分がたっぷりとあった。

 

 

「酷い事をするんだなぁ。」

まだ子供ながらそう思ったのを今でも覚えている。

 

 

当時はまだバブル期の真っ只中。

何をやっても景気は右肩上がりだった時代。

良くも悪くも大雑把な時代だったんだと思う。

やがてバブルが崩壊し、商売は徐々に生き残りゲームになっていく。

でも、それで良かったんじゃないだろうか?

 

 

かつてそのスーパーがあった場所を通った時、そんなことを思った。

 

 

人生は死ぬまでの暇つぶし。

偽って生きるにはあまりにも長く、まっとうに生きるにはあまりにも短い。